時の贈り物 古茶の熟成
時は最良の魔術師!
1970年 石門 老鉄観音茶 37.5g
歳月は誰にも容赦しませんが、私もまた歳月に容赦しませんでした。時のトンネルをくぐり抜け、光陰の刻みを凝縮した老茶は、大自然がもたらす時間の醸造です。
熟成した老茶とは、光陰が細部を丹念に彫刻する過程であり、流れる時の中で静寂を保つことです。この静寂の中で、日常は芸術へと昇華します。
老茶は茶を愛する者にとって非常に貴重な存在です。歴史が遺した老茶は、一煎飲むたびにその貴重さが減るもの。環境が変わり、未来にはもう再現できないものです。老茶を保管する者には茶を惜しむ心が必要であり、それによって後世の人々が老茶を楽しむことができるのです。もし気軽に日常茶飯事のように誰にでも振る舞ってしまえば、興ざめしてしまい、良い結果にはなりません。それはこの茶を作り、保管してきた先人たちへの敬意を欠くことになります。
結局のところ、老茶は新茶のように直線的ではなく、より深い意味を内包しています。それは「因縁和合」と「静心品鑑」という理念が求められるものです。
熟成した老茶は自然と謙虚であり、それは山水であり、夕焼けのような存在です。そこから、流れる雲や穏やかな風雨を感じ取ることができます。また、人生の味わいを知り、心が穏やかになるのです。老茶を味わうことは、長い人生を味わうことにほかなりません。