コレクション: 天目杯
天目について
「天目」(てんもく)は、かつて「建盞(けんさん)」として知られ、宋の時代に名高い陶器の一つです。天目という名前は、中国浙江省の杭州にある天目山に由来し、山の形が二つの目に似ていることから東天目、西天目と呼ばれています。この地は道教と仏教の聖地であり、宋元時代には多くの日本の僧侶が天目山を訪れ、寺院で使用されていた黒釉の茶碗を持ち帰り、日本で「天目」として広く知られるようになりました。宋の時代、中国では「鬥茶」が流行し、白茶の色合いを際立たせるために黒釉の茶碗が好まれ、特にうさぎ毛やきじの羽模様のあるものが珍重されました。蘇東坡もまた「道人繞出西屏山,來試點茶三昧手,勿驚午盞兔毛斑,打出春甕鵝兒酒」と詠んでいます。現在でも日本では天目風の茶器や酒器が多く作られ、この古来の美学が受け継がれています。